東日本大震災から早10年。震災が発生した時間帯の虹の里では、40人の利用者さんが施設内又は屋外に分かれて作業活動に取り組んでいました。かつて体験したことがないような揺れとその長さに、職員も動揺を隠しきれずに右往左往する場面もありましたが、実は利用者の皆さんは意外にも落ち着いていて揺れを収まるのを静かに待っていた印象がありました。電気・ガス・水道・電話などのライフラインはすぐに寸断されましたので、大津波警報や津波到達の情報はラジオで聴いていました。
日没が迫るなかで、出勤職員たちは今何をすべきなのかを考えながら行動していましたが、マニュアルどおりにはいかないもどかしさも感じていました。夕方には美浦村役場の福祉介護課職員さんが巡回にこられ、夜はお母さん方が石油ストーブやカイロなどの物資を届けにきてくれました。ライフラインは翌日までに全て復旧しましたが、余震が続く当日は、備蓄食料品のカレーライスでおなかを満たし、少ない職員で利用者の全体把握ができるように、第一作業所に全員布団持参で集まり夜を明かしました。まもなくガソリンスタンドでの給油待ち車列やスーパーから食料品がなくなるなどの光景を目の当たりにするのですが、村内のガソリンスタンドや食料品スーパーさんは、虹の里のために優先調達にご協力いただきました(感謝です)。
幸いにして利用者には人的被害はありませんでしたが、食堂の窓の開放ができなくなったり、備品倉庫の傾き、駐車場アスファルトに亀裂が生じるなどの被害を受けています。
まだまだ復興には程遠い地域もあり、報道を見るたびに心が痛みますが、大地震はいずれ必ず発生します。そのときに自分たちの施設を守るために、①利用者・職員の犠牲者を一人も出さないこと、②地域で困っている人がいれば少しでも協力すること、③日頃から「大地震発生後の不便」を最小限に止めるために必要な物資を備えておくこと、こうした意識と実践が必要であると考えています。
(写真は地震直後から当日夜までの様子です)